Audibleで依空 まつりの[1巻] サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごとを聴こう。
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依空まつりさんの「サイレント・ウィッチ 沈黙の魔女の隠しごと」1巻を読ませていただきました。まず感じたのは、主人公モニカ・エヴァンスの設定が非常に魅力的である点です。彼女は、圧倒的な魔法の才能を持ちながらも「話すことができない」内向的な性格で、そのギャップが作品全体に緊張感を与えています。沈黙という制約をどう乗り越えるのかが大きなテーマとなり、読者としても彼女の心の動きや成長に引き込まれました。
モニカは表向きはただの寡黙な少女ですが、その裏で王国を救うべく密かに動く様子が描かれていて、隠された秘密や二重生活の苦しみがとてもリアルに感じられました。特に、他人とのコミュニケーションが苦手な彼女が、徐々に仲間との絆を築いていく過程は胸を打つものがありました。沈黙の中に潜む強さ、優しさが非常に魅力的で、彼女の心の葛藤に共感する場面が多く、物語の深みを感じました。
また、魔法に関する描写も非常に緻密で、ただの力の競い合いではなく、知略や工夫が求められるところが良かったです。特に、戦闘シーンでは彼女の頭脳プレイが光り、いかに少ないリソースで最大の成果を上げるかを常に考えて行動しているところが非常に印象的でした。静かな戦士としての彼女の強さが際立っています。
一方で、物語全体のテンポも良く、彼女の成長物語としてバランスが取れています。感情の起伏が控えめながらも、その中に潜む熱意や優しさが随所に表れていて、静かに心に響く作品です。彼女が次第に周囲の人物と心を通わせていく展開は、感動的でありながらも自然で、無理のない成長物語として心に残りました。
総じて、モニカの内面的な成長と、彼女の秘密を中心に展開されるストーリーが秀逸で、読後には彼女の静かな強さと優しさに心を打たれました。2巻以降も彼女がどのように成長し、どのように王国の危機に立ち向かっていくのか、非常に楽しみです。
最後に、素晴らしい物語を届けてくださった依空まつりさんに感謝を申し上げます。